まず、下の比喩的ショートストーリーを読んでみてください。
[ 西暦20XX年 ある繁華街での、たこ焼き店主たちによる会話 ]
たこ焼き店主A 「 おたくの店、えらく繁盛してるな、 」
たこ焼き店主B 「 へへっ、なんといっても味自慢だしな、 」
たこ焼き店主A 「 でも、うちだっていろいろ工夫してるさ。なのに、平日は
いまいち売り上げが伸びねえ。なにが悪いのかな… 」
たこ焼き店主B 「 だからさ、あんたとこは材料にいいもん使いすぎなんだよ。
だいたい、たこ焼きなんて高級な食いもんじゃねえから、
どうやって印象に残るかのほうが大事なんだよ。ほら、あんたは
いつも化学調味料をバカにしてるけど、それを使ったほうが
『 うまい! 』って感じる客が多いのも事実だぜ、 」
たこ焼き店主A 「 そんなもんかな… 」
たこ焼き店主C 「 たいへんだ! たいへんだ! 」
たこ焼き店主AB「「 どうした? 」」
たこ焼き店主C 「 どうしたも、こうしたもねえよ、 おい、これ、見てみろよ! 」
たこ焼き店主AB「「 いったい、なんなんだよ… 」」
そうして、店主Cが持ってきた一枚の紙切れに書かれた内容を、店主ABは
のぞき込むようにして読んだ。
たこ焼き店主A 「 うわ、ひでぇ、 なんだ、これ! 」
たこ焼き店主B 「 ホントだ、 だれだ、こんなひどいこと言い出したヤツは、 」
たこ焼き店主C 「 な、ひでえだろ、 」
店主Cが持ってきた紙切れには、『日本たこ焼き協会』なるNPO団体の
設立が記載された記事があり、また、その趣旨として、今後はたこ焼き屋の
経営をすべて『登録・許可制』とし、その許可を受けるものはまず協会の
会員となり、協会費として会員料金を年払いで継続して納めなければならない
とあった。また、不定期に『たこ焼きグランプリ』なる大会を主催し、
ここで優秀な成績を収めたものには協会から『日本代表』としてのお墨付きを
与える、との記載もあった。
たこ焼き店主B 「 許可して欲しかったら会員になって金払えだって、
ふざけんじゃねえ、誰だ、こんなこと言ってるのは、 」
たこ焼き店主A 「 おまけに年払い? これじゃヤクザよりエグイって、 」
たこ焼き店主C 「 ほんと、ほんと、 だけどさ、これって今度新しく政権とった
政党が公約にでも挙げてて、新しい法律でも出来たんだったら
わかるけどよ、この場合は、どっかの姑息なヤロウの自己申告だろ、
こんなの、みんなが従うと本気で思ってんのかよ、 」
たこ焼き店主B 「 しかも『たこ焼きグランプリ』だって、 おいおい、
誰が審査するんだよ、 オレの店は多い日で2000食だぜ、
うちより売り上げるヤツらを何人も審査員に呼べんのかよ! 」
今日は少し過激な発言になりますが、それでも関西で約10年あまり
サルサを見守ってきた案内人としては、今回の事実はあまりにも
理不尽に思えたので、あえて発言することにします。
それでは本題に入ります。 『NPO法人 日本サルサ協会』
なるNPO団体が設立されたようです。
ホームページの案内では、
「NPO法人 日本サルサ協会はサルサダンス教授所の業務の適正化、
サルサダンス教授方法の進歩改善、
サルサダンス教師及びサルサダンス教授所の品位の保持等の活動を行う事により、
サルサダンスの普及とその技能及び知識の向上を図り、
もってサルサダンスの健全な発展並びに善良な風俗の保持及び少年の健全な育成に寄与することを目的とします。
また、幅広く楽しめる社交的娯楽として教授活動をしていきます。
そして、広く一般市民を対象として、サルサダンスの啓発・普及・指導に努めるとともに、
地方自治体・文化団体・芸術愛者等を通じ、文化の発展とサルサダンスの心を通じて、
豊かな人格形成に貢献する事業を行い、文化、芸術、芸能の推進・発展に寄与する事を目的とします」とあります。
確かにうたい文句は理にかなっていないようにもとれますが、今日まで
日本で「サルサ」なるものがどのようにして定着し、また、脆弱ながらもどのように
して市民権を得てきたか、そのいきさつを知る案内人の目にはものすごく変に思えた
ので少し説明させていただきます。
まず、サルサが日本で知られて約20年弱。最初は、南米やロス、NYなどに、
旅行や留学等の現地長期滞在をされていた先輩方が、
ほそぼそと日本で紹介し始めました。
しかし、サルサはビジネスの観点から見ればたいして「うま味」があるものではなく、
これまでに何人ものインストラクターが教室の成り立たたないことに挫折し、何ヶ所もの
サルサバーが採算面で閉店に追いやられました。
だけど、それでも未だに開いている教室やサルサバーが存在することも事実で、
それを支えてきたのは現在でも活躍しているインストラクターや
DJの方々の『情熱』によるものです。
このように、小さな力ながらも、各地で輝きを失うことなくがんばってきた
インストラクターやDJの方々の功績によって『自然発生』的に
根付いてきたサルサを、まるで「漁夫の利」のごとく、誰からも
承認を受けていない一団体が「先着による自己申告制」または
「言ったもん勝ち」であたかも日本を代表するような団体を名乗り、
今後、日本のサルサ界でグローバルスタンダードのように振る舞い、
そして発言していくことが、はたして許されてよいものでしょうか?
言うまでもなく「サルサ」は誰のものでもありません。ですから、
誰でもサルサを題材にしてサークルやイベントを開くなり、ビジネスとしての
活用も可能だと思われます。しかし、その場合は私的な名称を名乗り、
あくまでも公的なものではないと明記する必要があります。
それを、今回の一団体は公的な組織として設立され、
今後の活動内容はすべて公的であるとうたうことに大きな
問題があると思われます。それでも、この団体はサルサ界の整備についても
うたっていますが、そんなことをしなくても、これまでに実力ないインストラクターや
人気のないサルサバーは自然淘汰されてきましたし、変に犯罪の温床となった
例もほとんど聞きません。
〈 ほとんどのサルサバーが12時で終了しますから 〉
ですから、今後もそれでいいと思います。
とにかく、今回の協会設立劇は、今年初頭に話題になった
「日本漢字能力検定協会の前理事長・副理事長が
公私混同によって逮捕された事件」を思い出しました。
つまり、「私利私欲の公私混同」が見え隠れします。
最後になりましたが、ここでの案内人の発言はきわめて微力で、
なんの効力ももたらさないと思います。
ですが、日本のサルサ界の一線で活躍する方々が、「寄らば大樹の影」などと
狭器量なことを考えず、せめて、「該当協会発行の認定証を掲げることが恥ずかしい」
という空気を、洗練された良識として感じとっていただけたらと思いました。
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